かんじんかなめの『肝臓』

お酒を飲まない人も多いですが、夏になったらビールや冷たいものが飲みたくなりますね。
私たちの肉体の中心である肝臓はどの季節であっても一番多方面な仕事をしてくれている臓器です。

肝臓の重さは約1~1.5㎏。肝臓に供給される血液量は1分間に約1000~1800㎖。胆汁の分泌量は成人で1日約1000㎖。人体で一番大きく、一番重く、一番温度が高く、一番血液を含み、中でも大きな役割が物質の代謝と排泄です。

食事で摂った栄養素は、そのまま体内で使えるわけではありません。
例えばエネルギー源である炭水化物は胃腸で消化吸収されて単糖類(それ以上分解されない糖類)にまで分解されたあと肝臓に送られます。さらにこれを化学処理してブドウ糖に作り変え、血液中に放出し全身に供給しています。
この時、余分なブドウ糖をグリコーゲン(単糖類の集合体)に変えて肝臓に貯蔵し、お腹が減るとグリコーゲンをブドウ糖に戻して血液中に放出しているんです。これらの化学反応がいわゆる「代謝」です。
肝臓って働き者!!

さらに肝臓は“汚物処理場”でもあります。
脾臓その他で壊された血球の残がいは、ここで胆汁の形にして体外に捨てられます。また胆汁は胆のう(水分を吸収して濃縮)にためて、食物の脂肪がうまく消化できるように働きかけています。

~ 肝臓を休ませよう ~

アルコールが肝臓で分解されてできる“アセトアルデヒド”はホルマリン(商品名/殺菌剤や防腐剤、化学薬品製造に使う)の仲間の有毒物質で、これが悪酔いの元です。
たくさんお酒を飲んでも平気な人はアセトアルデヒドがあまり増えない人です。反対におちょこ1杯でドキドキしてしまう人は、アセトアルデヒドがすぐ増える体質の人ですね。

悪酔いを防ぐには、アセトアルデヒドをすみやかに酢酸(有機酸の一つ。刺激臭と酸味がある無色の液体。酢の主成分)に分解することが必要です。
つまり「飲んだら食べる」が飲酒の鉄則なのです。空きっ腹にお酒はいけません。飲む前に例えば牛乳を1杯流し込んで、胃粘膜のまわりに被膜を作っておくなどして、アルコールを胃で吸収させず、小腸から回してゆっくり吸収させると肝臓に急激な負担がかからないで済むかもしれませんよ。

また、「週に2日」は休肝日を作って『かんじん要の肝臓』を休ませてあげてくださいね。

※参考文献:人体解剖図鑑(宝島社、坂井建雄)/からだ雑学事典(日本実業出版社、佐伯誠一)/世界一やさしい!からだ図鑑(新星出版社、松本佐保姫)

担当:相澤